あいさん、こんにちは!
第九回も、よろしくお願いします。
今回から少し中級者向けの音楽理論に入っていきますね。
まずはドミナント・モーションの復習から
第二回の講座でドミナントモーションというのを勉強したかと思います。
覚えてますか?
C-メジャースケール=ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ
=(1)CM7、(2)Dm7、(3)Em7、(4)FM7、(5)G7、(6)Am7、(7)Bm7(-5)
そのキーの五番目のセブンスコードから一番目のトニックコードに進む進行でしたね。
Cメジャースケールの場合は『G7』のコードから『C』のコードに進みます。
セカンダリー・ドミナントとは?
今現在は、Cメジャースケールの場合は上記の7つのコードと
マイナー系のドミナント・モーションに使った『E7』の計8個のコードを覚えました。
Cメジャースケールのドミナント・モーションは行き先が『C』でしたが、
セカンダリー・ドミナントはその他のコードを行き先に見立ててしまおうという
手法です。
例を上げていきますね。
例えば、行き先のコードを『F』にします。
この『F』をトニックの1度のコードと見立てます。
ドミナント・モーションはそのコードを含めて4つ下のセブンス・コードからの
進行なので、『C7』→『F』という進行になります。
これが『C7』の構成音になります。
セブンス・コードはメジャー三和音に短7度を足したコードでしたね。
短7度はルートから半音二つ分左に移動した音なので、
『Bb』の音になります。
(CUBASEは仕様上『A#』という表記になります)
ここで、Cメジャースケール以外の音が入ってきましたね。
これによりこの『C7』の部分がCメジャースケールのルールから
外れることになるので、耳を引くような響きになるわけです。
例えば、こんなコード進行があったとします。
この3小節目の『F』の前にセカンダリー・ドミナントの『C7』を入れてみましょう!
セカンダリー・ドミナントを使うことにより、
一瞬耳を引く響きが加わり、それでいてスムーズな進行に感じませんか?
これがセカンダリー・ドミナントの効果です。
ツー・ファイブ進行の復習
ドミナント・モーションの際に、よくセットで使われるのが
ツー・ファイブの進行です。
では、セカンダリー・ドミナントを使う際は『ツー』とは
何を指すんでしょうか?
ここで、セカンダリー・ドミナントをもう少し音楽的に説明すると
先程の例では、『F』のコードをトニックの1度に見立てましたね?
ということは『C7』の部分だけ、他のキーに変更になっているんですね。
何のキーか分かりますか?
答えは『F』のコードがトニックの1度なので、
Fメジャー・スケールになります。
では、Fメジャー・スケールの資料を見てみましょう。
F-メジャースケール=ファ、ソ、ラ、ラ♯、ド、レ、ミ
=FM7、Gm7、Am7、A#M7、C7、Dm7、Em7(-5)
『C7』→『F』でFメジャー・スケールのドミナント・モーションが
成り立っているのが分かりますか?
ここが少し分かりにくいかもしれませんが、
先程の例では、『C7』の部分だけ、Fメジャーキーに転調して
『F』でまたCメジャーキーに戻ってきています。
場合によっては、『C7』→『F』の進行からそのままずっと
Fメジャーキーに転調することもあります。
少し話が脱線しましたが、セカンダリー・ドミナントを使う際の『ツー』は
一時的に転調したキーの2番目のコードになります。
つまり、今回の場合は『Gm7』になります。
これも同様の考え方で『Gm7→C7』の部分がFメジャーキーに
一時的に転調していることになります。
これだけでだいぶオシャレなコード進行に変わったと思いませんか?
セカンダリー・ドミナントの行き先のコードは、、、
先程の例ではセカンダリー・ドミナントの行き先は『F』
つまり、メジャーの三和音でしたが、
行き先のコードはルートさえ一緒であれば、
メジャーでもマイナーでもセブンスでも何でもOKです。
そのキーの4つ下のセブンスコードから来るものは
全てセカンダリー・ドミナントとして使えます。
では、Cメジャーキーの他のコードを見ていきましょう。
残っているのは、Dm、Em、G、Bm7b5、E7になりますね。
(Amは以前に説明した、『E7→Am』になります、
これも厳密に言うと、『E7』の部分がAハーモニック・マイナー・キーに
転調しているということになります。)
A-hmスケール=ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ♯
=AmM7、Bm7(-5)、CaugM7、Dm7、E7、FM7、G#dim
それでは、残りの5つのコードですが、
- 『A7』→『Dm』
- 『B7』→『Em』『E7』(ルートが一緒なので)
- 『D7』→『G』
『Bm7b5』は『F7』からとしたくなるところですが、
ここの関係だけは、他との距離が違う(半音7つ分、他は半音6つ分)ので
成り立ちません。
上の『A7』『B7』『D7』も『C7』『E7』と同様、
Cメジャー・スケールにはない音が含まれるので、同様の効果があります。
ツー・ファイブ進行の行き先がマイナーコードの場合
ここで、ツーファイブ進行の行き先がマイナーコードの場合を
音楽理論的に説明しておきます。
例えば、上の『Dm』『Em』がツーファイブ進行の行き先の場合は
ハーモニック・マイナーキーに一時的に転調しています。
そして、ハーモニック・マイナーキーの2番目のコードは
必ず◯m7b5になります。
D-hmスケール=レ、ミ、ファ、ソ、ラ、ラ♯、ド♯
=DmM7、Em7(-5)、FaugM7、Gm7、A7、A#M7、C#dim
上記の通り、『Dm』を行き先としたツーファイブ進行は
『Em7b5』→『A7』→『Dm』になります。
E-hmスケール=ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ、ド、レ♯
=EmM7、F#m7(-5)、GaugM7、Am7、B7、CM7、D#dim
『Em』を行き先としたツーファイブ進行は
『F#m7b5』→『B7』→『Em』になります。
EAT SLEEP DANCEで見つけた使用例
ちょっとリズムが複雑なのと、解析も100%の自信がないけど、
曲の最初の辺りはこんな感じのコード進行の繰り返しかと思います。
『EM7』→『Eb7』→『G#m7』→『F#m7』→『B7』→『EM7』に戻る
これの繰り返しですね。
これをCメジャーキーに直すと
『FM7』→『E7』→『Am7』→『Gm7』→『C7』→『FM7』
- 『E7』→『Am7』でマイナー系のドミナント・モーションを使用
- 『Gm7』→『C7』→『FM7』で『FM7』を行き先にした
ツーファイブのセカンダリー・ドミナントを使用
なので、しょっぱなから少しキーを外して印象深くしてるんですね。
そして、この後がすごく良いんですけど、
ちょっとまたCUBASEの表記の問題もあるんですが、
さっきの流れで普通は『EM7』→『Eb7』→『G#m7』のところを
『EM7』→『Eb7』→『G#M7』(AbM7)と
マイナーコードに進む所をメジャーコードに進んでるんですね。
また、Cメジャーキーに直すと
『FM7』→『E7』→『Am7』であれば、Cメジャーキーの
並行調であるAマイナーキーへの一時的転調なので、
そこまで違和感はないのですが、
『FM7』→『E7』→『AM7』となると、Aメジャーキーに
転調しているので、はっきりとした転調感がありますね。
ですが、意表を突かれて個人的にはすごくオシャレに感じます。
これも理論的に説明がつきます。
A-メジャースケール=ラ、シ、ド♯、レ、ミ、ファ♯、ソ♯
=AM7、Bm7、C#m7、DM7、E7、F#m7、G#m7(-5)
A-hmスケール=ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ♯
=AmM7、Bm7(-5)、CaugM7、Dm7、E7、FM7、G#dim
こちらにAメジャーキーとAハーモニックマイナーキーを
並べてみましたが、どちらも5番目に『E7』があり、
1番目のトニックには『A』『Am』があるので、
どちらもドミナント・モーションが成り立っているわけです。
この使い方は、すごくオシャレですね!
(元のキーに戻るのであれば、戻すのにも工夫が必要ですが、、、)
まとめ:第九回 あいさん用 中級編① / セカンダリー・ドミナントについて
どうでしたか?
今回の記事で他にもいろいろと紹介しようと思ったのですが、
まあまあのボリュームになったのと、
このセカンダリー・ドミナントは簡単に普通から抜け出せる
一番良い手法だと思うので、これに集中した記事にしてみました。
ぜひ、考え方、使い方をマスターして
今後使ってみて下さい。